Dick Van Straalen 7'4 Twin EPS/CARBONインプレッション

投稿者 : AlternativeMart on

Dick Van Straalen 7'4 Twin EPS/CARBON

 

モデル:Twin Fin EPS/CARBON仕様

サイズ:7'4(幅21 1/2x厚み3 1/4程度)

乗り手

年齢:43歳

身長:168cm

体重:61~64kg

 

※Twin Finモデルをお勧めの人、キーワードなど

  • 全ての波質やサイズを安全に簡単に楽しみたい
  • 長さや浮力は欲しいが重いボードは欲しくない
  • ショートボーダーでも簡単にターン出来るミッドレングス
  • 長年サーフィンをしているが上達が遅い、または始めたばかり
  • 波に乗る本数が少ない、波に乗っている時間が短い
  • 体力の低下に悩んでいる、最近サーフィンが楽しくない、など...

ミッドレングスブームとスキップ・フライに代表されるフィッシュシモンズ~ビッグフィッシュブームはそれぞれが重なる部分と異なる部分がある。一方オーストラリアのフィッシュと言えばDVSなのだが、その彼がリリースしている巨大な"Twin Fin"はどうなのか?彼のアイディアは他のシェイパーから全く影響されていない独自な物なので、その乗り味は実際に乗らないと確かめようがないのである。

 Dick Van Straalen 7'4 Twin EPS/CARBON

DVSの独創性はシェイプだけに留まらず、サーフボードの素材選びや加工についても世界のトップを走っている。EPSフォームのフレックス性能を強化するためにベルト状のカーボンクロスをボードの様々な位置にラミネートする行為はもはや目新しい物ではない。しかしボードのボトム面のみにカーボンをラミネートし、おまけに芸術的なカラーリングを施すボードについてはDVS以外では今のところ確認できない。フルカーボンのプロダクションサーフボードであるAvisoが発売される以前からDVSは独自のフルカーボンボードをEPSフォームにラミネートして販売していた。それは私も何本か所有していたが、カーボンの反発の強さは時としてレールがショルダーから弾かれやすかったりとネガになる事もある。現在のボトムカーボンはその辺りのバランスを融合させた仕様なのではないか?

ボードの印象だが、まずノーズがかなり尖っている。これはフィッシュというイメージではない。しいて言うなら以前DVSが多くシェイプしたロケットフィッシュに近い。しかし70年代のツインフィンのニードルノーズのイメージに最も近い。デッキはほぼ全面にデッキコンケーブが施されており、その減少した浮力分を補うためレールがかなり厚い。またロッカーがこの手のミッドレングスにはないほど強めである。フィンもボード全体のボリュームに対してはやけに小さく映るツインフィンのみである。ボトムカーボンの芸術的な彩色と相まって、このボードの乗り味を事前に想像するのはほぼ不可能に思えた。

ボードを持っての海までの行き来は軽い。なにせ重量がフィンなしで4.2kgしかないのだ。強風時や体格が小さい人などにとっては取り回しの良さは重要である。リーシュを付けてボードを浮かべパドリングを開始すると異次元のパドリングの軽さに驚いた!

SUPか!?

と突っ込みを入れたくなるような異次元の軽さと速さである。このボードはノーズからガッツリとシングルコンケーブが掘られており、ボードの下を通る水流は即座にボードを浮き上がらせる。EPSフォームの軽さとの相乗効果でボードは少ない力でもぐんぐん沖に向かって進んで行く。もちろん過去のサーフィンでロングボードにも何度も乗っているが、このパドル感覚はそれらとは全く比べ物にならないくらい軽い。

ショートボーダーが乗れないようなまとまりにかけたりブレイクのタイミングが悪いピークに行き、波が来るタイミングを待つ。細いと感じたノーズはかなり体重移動に敏感に反応するので、パドルとテイクオフで上半身のポジションを移動させる必要は無い。そして一本目から普段乗っているボードのサイズと全く異なるにもかかわらず、何の違和感もないライディングが出来た。ブレイクが早い波でも横向きにノーズを下げてパドリングすればすぐに板が滑り出す。ボードが軽い為加速が良く、マニューバーにすぐ移行できる。これがPUのボードだとボードの状態が安定するまでの待ちの時間があったりするが、このEPS仕様だとそういう時間的ロスは感じられない。

驚くべき事にターン性能はHydro Hullよりも軽く感じる。これはボードのロッカーの強さやアスペクト比、フィン形状など様々な要素が絡み合って作り上げられた要素だと推測する。このサイズのボードであっても初日からリッピングまで成功するとは全く予想出来ない驚きであった。ロッカーが強い事によりレイト気味のテイクオフでもボードは飛ばされない。このモデルがゴールドコーストのホローな波でも問題なく機能している所以がよく分かった。

ボトムカーボンの効果だが、テイクオフの速さやその後の加速性能に寄与している事がは用意に想像できる。特筆すべきはこのボードのライディング中にバランスを崩して体勢が乱れてもボードが沈み込まない事だ。重心がかなり乱れて他のボードならワイプアウトしたりボードの一部分が沈み込んでしまう状態になっても、このボードは平然と持ちこたえてそのまま加速してしまう。PUのボードではまず感じえないフィーリングであり、これがカーボンの反発性能を最大限に生かしている場面なのではないかと感じた。

総合的に考えるとこのような優れたボードがあれば、初心者が上達目的の為にロングボードやスポンジボードを選ぶ必要は無いのでは?とさえ思ってしまう。そしてショートボーダーであっても満足できる反応の良さや操作性がある。ショートボードからロングボードに至るまでどのサイズのボードを選ぶのかという事は個人の嗜好による部分が大きい。しかし本当に楽しむ為のサーフボードとは何なのか?このボードはそんな疑問に対する一つの答えであるかもしれない。